2016年のおぐらやま農場の総括

12月になり、1年を締めくくろうとするこの時期、時間を作って今年1年の振りかえりと反省点、来年への展望・計画などをしておきたいと思います。季節は絶え間なく流れていくので、意識的にそのような節目を作っていかないと、季節に追われての農場運営になりがちだと思うからです。

 

今年を振り返ってみて一番最初に浮かぶのは4月の凍霜害、9月の長雨、10月の台風と、一年にこれだけの振れ幅の大きい天候をよく受け止めてきたなということです。近年は温暖化の影響で、一昔前では考えられなかったような集中豪雨や台風、大雪などが頻発していると言われていますが、農業という仕事に就いているとそのことは肌で感じています。凍霜害についても寒すぎることが原因という訳ではなく、暖かい冬の気候に樹木が反応して、例年よりも早めに蕾(つぼみ)を膨らませ開花してしまうことが主因ですので、やはり温暖化の影響が大きいのだと思います。

 
 

 

では、それにどうやって対応していくのか、果樹園は霜で花が減り、長雨で落葉病がでて葉っぱが減り、台風でさらに果実が減ってしまったのですが、そんな気象条件を受けても被害を受けにくいやり方を考えていかなければなりません。まず一番先に考えておきたいのが、農場全体の営農の骨格をどうしていくか、作目をいくつかに分けて収穫時期のちがうものにしておく事が大切です。果樹園の作目で桃・梨・りんごと夏から冬の初めまで収穫するものをリレー式にしているのはその為ですが、まだふじりんごへの依存率が高いのも実情です(りんごの収穫量の6割はふじ)が、需要もふじりんごが中心なので簡単には減らせません。

 

果樹園と合わせて取り組んでいる人参や加工トマトなどをどの程度の作付にしたらよいかはよく検討したいところ。ここ近年の野菜関係の品質と収量アップは目覚ましく、肥料栽培を脱して炭素循環での栽培に移行してきたことが大きいと思われます。近年の人参畑は気象にほぼ左右されません。日照りでも種まき直後以外は水やりの必要がまったくなく、反対に大雨が続いても地下深くまで団粒化している畑では全部吸収してしまいます。葉っぱは地面近くで広がっているだけですのでいくら台風で風速20~30メートルが吹き付けても柳に風で意に介さず。寒さにも強く初冬に霜に当っても更に糖分を上げて甘くなっていくぐらいですので、周年出荷を目指せるかどうか。これも販売面との兼ね合いがありますが。

 

果樹園の土も改良されてきていますが、「農薬をどれだけ減らせるか」に力点が行き過ぎていることは反省しています。害虫関係の被害は年々少なくなり、通常防除の3割以下でも虫食いだらけになってしまうような局面はほぼなくなってきましたが、長雨が続いてカビ菌の繁殖に起因する落葉病にはまだ抵抗できません。抵抗できないと判断して殺菌剤を何度も散布すればいいのですが、前述のように「どれだけ減らせるか」という人間基準のつまらない意地がりんごの樹に負担をかけています。

 

でも今年は興味深い事が分かりました。先々月に紹介した広島の農業指導をしている道法さんの「切り上げ剪定」の話を聴いて、私たちのりんご畑の様子をよく観察してみると、長雨で落葉したりんごの枝の中でも上を向いて立っている枝にはちゃんと葉っぱが残っている。そして横向き、ななめ下向き、下向きの枝の葉っぱがほぼ落葉している。植物ホルモンがしっかり枝先まで回る上向きの元気な枝を作れば、明らかに耐病性が強くなるのです。私たちのりんご畑を見て回って、確かに希望の光が見えたのです。よく見ればりんごの樹はちゃんと教えてくれている。何をすればよいかのヒントを身を削って教えてくれているのでした。

 

おそらく普通に農薬防除して、青々とした葉っぱがついていることが当たり前の果樹園に居ても僕はそのことに気づくことが出来なかった。今年は長雨のおかげでこんなに大切なことを教えてもらえたのです。 「理論は現象の後追い。」目の前に何が起こっているのかを掴みとるチャンスをこういう年にこそ逃してはならないのです。

 

色いろな気象条件を受け止めて、そこでまた次の段階が見えてくる。「ライフワーク」の一文に照らして考えてみた時、やっぱり私はこの仕事が大好きだということに気が付きます。大変だと一見思うことがあると、尚さらその先に何が待っているのかを見届けようとしてしまうのです。

 

もちろん好きや面白そうだけで成り立つ安易なものでないこともたくさん経験してきましたが、自分と向き合い、自分の能力を鍛えて、自分の全てをたくさんの人と分かち合う努力を重ねていくこと。誰かと何かを分かち合えた喜びがきっと「生きがい」なのかなと思います。(アキオ)2016.12.31

 

コメントを残す