「かがやき」りんご 21回目の結婚記念日に
私たちがりんご畑をお借りしている地主さんの一人に、
数十年間りんごの育種を地道に手がけてきた古屋さんというお爺さまがおられます。
新規就農した18年前、一番はじめに借りたりんご畑が、
古屋さんのりんご畑の隣だったご縁で、よく声をかけていただきました。
畑で挨拶した折に、育種の話が始まると5分や10分で済まない事は多々あり、
品種改良のことだけでなく、戦争の頃の話や、小倉の戦後開拓史や当時の暮らし、
りんご作りを始めた頃のことなど、いろんなことを教えてもらいました。
90歳を過ぎて今は一線を退かれ、
りんご畑を私たちに預けていただいたのですが、
古屋さんの手がけてきたりんごの新品種たちはいくつか残してあって、
今も毎年実をならせています。
公に種苗登録されたものが、山形天香園から出ている
「千年の輝(せんねんのかがやき)」です。
長い名前を省略して私たちの中では「かがやき」で通していますが、
これがなかなかのりんご。
また、名前をつけたのは私ではないのに、
いつのまにか私の奥様のような名前におさまってくるところに、
なんとも不思議なご縁を感じます。
(ちなみに、桃の主力品種は「あかつき」ですから、園主も力を入れて栽培する訳です)
果樹苗木の名門、山形天香園さんが自社苗木カタログのりんごページの
最初に一番大きな写真を出してPRされているのですから、
その期待度たるや相当なもの。(命名は天香園の会長さんだそうです)
400〜600g位と果実大きく、果皮は暗紅色に着色し、
糖度平均15.1度くらいで適度な酸味があり果汁多く、
肉質固すぎず食べやすい。果実の大きさ、着色の良さ、食味の良さと3拍子揃った魅力的な新品種、
であると、カタログ紹介にあります。
まだまだ生産量が少ないので、
まずは年間コースのお客様へ優先してお届けですが、
余裕があれば皆様にも少しずつ分けられるかもしれません。
民間・個人の立場で、育種改良の大きな仕事をするのは、
すぐに結果が出る仕事ではないのではっきり言って負担が大きいのですが、
古屋さんのように、日々のりんご栽培の仕事の傍らで、
理想のりんご品種を作るという夢を着々と手がけている人が
この国の篤農家の中には昔も今も一定数存在し、
全国あちこちの果樹試験場など公的機関が作り出す品種に決して負けないものが毎年発表されてきます。
もっとも、全体として味や大きさにフォーカスした品種改良が続けられて居ますが、
病虫害に強いとか台風でも簡単には落ちないとかの視点での改良が
もっともっと進んでくれたらなあと思っています。
自分でやれと言われそうですが。
病虫害に強いりんごということでは、
台木を工夫して試したいことがあり、今年からやり始めます。
結果が出るまで4〜5年かかるでしょうが、
形になってきたらまた報告致します。(アキオ)
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