植物ホルモンをいかす剪定方法
おぐらやま農場では、土壌を良くするだけではなく、
「植物ホルモンをいかす」という観点から2017年より「切り上げ剪定」をとりいれてきました。
簡単にですが、植物ホルモンについてまとめてみたいと思います。
この植物ホルモンをいかすことによって、植物そのものがもつ生命力を存分に発揮してもらえそうです。
植物そのものが元気になるから「化学肥料も、農薬もいらない」。
そんなところを目指しています。
植物には屈地性(くっちせい)という原則があり、枝が横向きに曲がると必ず上へ向かう新芽がでて、上へ伸びていく性質があります。果樹園のりんごや桃の木に当てはめれば、徒長枝がこれに当ります。
そして新芽で作られるのが発根ホルモン(オーキシン)です。これが根っこまで降りてきて、盛んな発根を促します。そして根っこで作られるのが「葉や茎を伸ばすホルモン」(ジベレリン)、「蕾を作り花を咲かせるホルモン」(サイトカイニン)。
ですから元気のよい枝や葉を作り、良い花を咲かせ良い結実を得るには元気のよい根っこが絶対に必要で、そのためには新芽がたくさん出てくる元気のよい上向き枝が木にたくさんあることが一番理に適っている。
これを逆に言えば、剪定で枝を切り落とせば落とすほど、地下部の根っこが枯れていき、植物ホルモンの活性低下を招いていることになる。道法さんが何回もミカンの木を掘り返して確認してきたことだそうです。
また、エチレンと呼ばれるホルモンは若い葉で生成され植物内に蓄積されていきます。これが「虫除け・殺菌のホルモン」役をしています(代謝の過程で酸化エチレンになり、強い殺菌力を持つ)
エチレン活性の高い上向きの元気な枝についていた葉が、昨年の長雨にも負けず落ちなかった事実をこの目で見た私はここで膝を打ったのでした。
そして果実の成熟を進める役割はアブシジン酸と前述のオーキシンが熟度・糖度を高めていく働きを担っている「美味しいホルモン」。これら全て「植物ホルモン」と呼ばれるいくつもの物質が植物体内でアクセルとブレーキのバランスを絶妙に取りながら自動制御している。
植物を育てているのは肥料ではなかった。もしかしたら発酵養分でないかもしれない。土壌微生物と共生しているのはそうだとしても、それですべてを言い表している訳ではない。
どうやら僕は大切なことを一つ忘れていたかもしれない。植物が育つ「環境」をどう整えるか、微生物の住みやすい畑にするには何をすればよいかと、作物の周りの環境づくりに意識が集中していて、「作物そのもの」の生理生態に踏み込めていなかったようなのです。
これを「木を見て森を見ず。森を見て木を見ず。」というのでしょうか。無知は愚かです。でも自分が無知であることが分かっていれば、次のことを素直に吸収することが出来る。今はそんな気持ちでいます。(2017.2.8)
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