信州安曇野・道法スタイル学習会が始まりました(3月5日)
3月3日の日曜日。道法さんのいない「道法スタイル学習会」第1回でした。一体どうなっていくのか、私もドキドキしておりましたが、参加者20名ほど集まって頂き、発言も質問も活発で、熱気に満ちた一日となりました。
座学で皆さんに紹介した話に、先回投稿した「桃の摘蕾は不要」ネタで、道法さんが教えてくれた資料があります。写真右下のグラフですが、摘蕾をした桃の樹と、しない桃の樹の実の重さ分布を調べた福島県果樹試験場の調査です。
この資料は「桃の作業便利帳」という農文協さんが出している技術書の中にあるものですが、如何に摘蕾が大切か、桃の大玉生産には摘蕾が必須だということが詳細に述べられて、出てくるグラフがこの2つ。満開後52日の摘果時に重さを図ると摘蕾した樹の方が平均重量が重い、収穫時には摘蕾しない桃の樹の方が平均重量が重い、ということが読み取れるグラフです。
えっ、おかしいじゃん。だれがどう見たってこの話はおかしいじゃん。結局収穫時には摘蕾した樹の桃が小さくなるグラフが出てるのに、どうして摘蕾が必要、適期は開花5日前頃という話になるのかな?? 道法さん曰く「このグラフには執筆者の意地を感じる」 つまり、摘蕾したら樹が弱ると分かっていながらそう書けない理由がある。だけど自分が調べた真実はこのグラフに残しておきたいという農業技術者としての意地。
もう一つ参加者の皆さんに紹介した、これは絶対おかしいでしょという論文があるのです。30年近く前の青森の農学博士学位認定論文です。多肥栽培でりんごの収量・品質・着色にどんな影響が出るのかを18年かけて調べた本格的な調査です。
論文には多肥栽培と無施肥栽培では、収量に有意差がない。品質では保存性・特にゴム病発生に多肥区が著しく劣る。着色は多肥区が明らかに悪い。しかも日陰、遮光の条件が着色に影響するのではなく、果実の生理的条件(この場合高濃度チッソ)が第1義的に重要との結果が出ている。多肥区ほどアントシアニン等の着色色素が生成されない、と無施肥区の優位性が18年間調べた結果として列挙される。
そして最後の結論として、「年間の施肥適量は窒素でこれまで推奨された17キロでなく年間8キロが良い」とされる。あれっ、どうしてここまで無施肥区が良いと実証し続けて、最後に「年間8キロが良い」となるのか、おかしいじゃん。無肥料でつくるりんごが一番品質も着色もいいです。収量も変わりませんって結論ではっきり書いてしまうと博士号がもらえないのでしょうね。興味ある方は「リンゴの樹体生長・収量・及び果実品質に及ぼす窒素多肥の影響」で調べてみてください。
解散の駐車場で、山梨から参加された新規参入の農場経営者の方が「うちの若いものをおぐらやまさんで研修させたいのだが受入れしてもらえるか」と言ってこられました。これまでは慣行農法の果樹園へ研修へ行かせていたが、道法スタイルの果樹園地を学習会で実際にみて、話を聞いて、これを学ばせた方が良いと判断されたとのこと。この学習会を開催して本当に良かったなと思いました。
先ほども、また別の参加者の方から、同じシェアハウスの友人が興味を持ってくれたので来月の学習会に彼を連れて参加したいと電話がありました。少しずつ輪が広がってくれたら嬉しいです。皆さんの参加をお待ちしています。
信州安曇野・道法スタイル学習会については下記の記事をご覧になってください。(申し込みもできるようになっています)
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