作物に向き合うために NO.336
ちょっと日が過ぎましたが、8~10日まで、道法さん
来られての道法スタイル農業講座、安曇野・小布施・
長野市松代と、信州3日連続シリーズに参加させて
頂きました。
安曇野会場(おぐらやま農場)は、冬夏と年2回開催
し、継続的に教材としてまな板の上に載せることで、
とても有意義なアドバイス、コメントをもらうことがで
きています。
桃の植樹間隔が4m×4mで狭かったので、だんだん
枝が込み合って来ていた圃場にて。
「ゆくゆくは間を抜いて樹の数を半分に減らす予定
です」
「いや、ゆくゆくでなく、今。今すぐ間伐してやらないと
樹が弱ってきている」
樹の数を半分に減らすのは、収量を半減させる錯覚
に陥るから勇気がいる。 つい「ゆくゆくは」、「来年く
らいには」と、先延ばしにしてしまうのである。
この畑の枝の伸びがここ2年ほど思ったように伸びて
こないことは分かっていたのに、まだ根本解決に手を
付けないつもりなのか? 穿孔病が出る一因にも繋
がることが見えてこないのか?
こんなわが身を切るようなやり取りが極寒の果樹園
で出来ることが、限りなく有難いことだと思う。
隣の樹の枝と触れ合うくらいの間隔は、植物のエチ
レンホルモンを感じ取り、お互いがこれ以上枝を伸
ばさないよう生長抑制型に働き、枝の伸びが抑えら
れているのです。
伸び伸びと枝を伸ばす空間があることは、作物を強く
大きく育てるための必須要素。
肥料をやめて低農薬から無農薬へ移行していく途
上の私たちとしては避けて通れない重要ポイント
です。
不思議なことに、自分の枝と枝が触れ合ってもそれ
ほど影響が出ないのに、隣の樹と触れ合うと抑制型
の影響を受けやすいようなのです。
作物同士が応答し合いながら生きているこの空間
で、私たちもそれに呼応できる目と心を準備しなけ
れば。
今年もとことん作物と向き合って、彼らが何を求めて
いるのかを感じ取っていこう。
農業とは何て面白い仕事なんだろう。
松村暁生
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