荒れ地の開墾からはじまった桃畑 軌跡2
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農家のおばあちゃんの温かさ
みなさんこんにちは。すっかり春ですね。東京のほうはもう桜も散って葉桜だとか。
こちらはまだ桜は咲きませんが、蕾がなんとなく膨らんではきたようです。蕾(つぼみ)といえば、桃の摘蕾の時期なんですけど、私は今、桃の植え替えの畑作りに忙しく、まったく手につかないでいましたら、お隣さんで私達が何かとお世話になっている大倉のおばあちゃんが「松村さん、忙しそうだで、摘蕾手伝いましょうかね。こっちは拾う枝もまだないしねえ。」といってくれました。
大倉さんが剪定したあとを追っかけておばあちゃんが枝を拾っているのですが、追いついているので少し時間が取れたということでした。それでゆっくり休むよりも手伝うことあるかいと気にかけてくれて、「そりゃわるいだよ」といってはみたものの、昼寝して起きたら玄関口でもう、ばあちゃんが待っていました。
「私も桃の摘蕾はおはるかだで(ひさしぶりだから)本式を教えておくれ」。まったく頭が下がります。春はどこの家も忙しいのです。
自給自足の暮らしの喜び
去年の初冬に収穫した野沢菜の株から新しい葉が伸びてきたので輝美が採ってきて、久しぶりに新鮮な青菜を口にしました。彼女はことさらそれが嬉しいようで、チャーハンに入れたり鍋でたっぷりと食べたりして味わっております。「こういう感覚って大事だよなあ」と言う話になりました。
我が家の冬は保存しておいた白菜、大根、野沢菜漬、ジャガイモ、ねぎ、人参などがあるのでそれでだいたい間に合うのです。昔の人はみんなそういう暮らしだったと思います。そして春が来るから食べられるものがある。輝美に言わせると「体が喜んでる」とでも言う感覚です。一年中同じ物を食べていたらそうは感じられないでしょうね。
田舎暮らし、農場ぐらしへの来訪者
この間は、たくさんの人たちがおぐらやま農場を訪れてくれました。よく遊びにきてくれるのは輝美のママさん友達のMさん。この方、隣村の堀金に家があり御自身は針灸師の資格をもつ女性ですが、娘のAちゃん(まだ4ヶ月)を連れて僕らと畑でお茶したりふうわを見ててくれる間に輝美が少し枝を拾ったり、輝美が腰が痛いといえば針を刺してくれたりと何かとお手伝いしてくれてる方です。赤ちゃんを畑に連れてくるのが気持ちいいといってました。
3月の15日から17日で舞鶴でログビルダーをしている弟が彼女を連れてやってきて、19日から23日までは、京都に住む母と一番下の弟(今春京大工学部に合格、情報学をやりたいとのこと)、東京の母方の祖父母、それからニューヨークのコロンビア大学院で勉強してる妹もはるばるやってきて、祖父の78回目の誕生祝や久しぶりの家族の再会を愉しんだのでした。
うちの兄弟はちょっと紹介したとおり、二人はとてもアカデミックな進路を選び一生懸命勉強しています。、かと思えば寛生と私は大工と百姓ですから、ちょっとタイプも違います。しかしいろんな個性がある兄弟と言うのは何かと頼もしく、今回の来訪でも、夫々が自分の目標を持って人生を生きているということが感じられ、とても豊かな気持ちにさせられました。
そのあと26、27日で川崎に住むS君、Jさん、M君、Rちゃんのファミリーが訪ねてきてくれました。S君は、以前私がいた牧場で受精卵移植の仕事を長く一緒にやっていた友人です。
彼が研究室のシャーレの中で顕微鏡を覗き込みながら育ててきた牛の受精卵を、私が牛の子宮内に移植して妊娠させて、ホルスタインから和牛の仔牛を産ませたり、成績のよい乳牛、肉牛の子孫を集中的に繁殖させたりと、そんな仕事をやっていたのです。
久しぶりの再会、まさか長野の山の麓で会うとはなあ、人生とはつくづく先の読めない物語だと思ったのでした。魚市場に勤めてる友達がいるからと、山国の住人のために新鮮な海の幸のお土産まで持ってきてくれ、夜は遅くまで仕事のことや子育てなど語り合いました。次の日、2時間ほど薪割りをやってくれたのですが、さすが仕事師、チェンソーと斧を駆使してすごい速さでカラマツの丸太を割っていきます。
横で見ていた子どもが「すごい、父ちゃん!」と声をあげたとか。いつもは勤めで外で仕事をしているS君の働く姿なぞ、ついぞみたことがなかったのでしょうね。子どもに働く父ちゃんの背中を見せてやれると言うことも、なかなか難しくなってきてるんだなあと思いました。
などなど、農場を訪れる人たちがいてくれて、僕達は本当にいろんなことを学んでいるように思います。同じ場所と時間を共有しあうことで心のつながりが生まれ、家族関係、人間関係を豊かにしてくれます。
何が幸せかって、それ以上のことがあるでしょうか。4月の6日7日に幾人か友人がきてくれて桃の植え替えを手伝ってくれるそうな。そうそう、来訪者が来ても、ちゃんと仕事はやっておりますよ。桃の畑は今日一日かかってロータリーが終わり、明日から穴を掘っていよいよ植え替えです。開墾してる畑で、伐採した木を運び出してるところ、添付しておきます。それではみなさん、また来週まで、ごきげんよう!
農場をはじめたばかりのころ、たくさんの友人や仲間、家族が遊びにきてくれました。少しずついろんなお手伝いをしてくれて。。。楽しかったなあーー。
これは2002年3月29日に仲間に向けておくったお手紙です。写真にあるような荒れた土地を開墾して桃畑にしたのですが、この時農場主は漆にやられ顔から全身まで膨れあがり大変、大変!!!
そんなことがありました。今では、こんな荒れ地だったところに桃が鈴なりになっています。
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