新規就農者は応援してもらってるからやれる!軌跡13
母親はすごし!!
みなさんこんにちは!おはるかぶりですね。先週はちょっと忙しく、輝美が突然高熱出したりもありまして、ゆっくりパソコンに向かう時間が取れずに、お便りお休みしてしまいました。
「今週はおぐらやま農場だよりきてないよー」と声かけてくれる方もあり、読んでもらってるんだなーとちょっと嬉しかったです。輝美の方は無事熱もおさまりましたが、母親業と言うものは横で見てるより大変なものですね。この間ふうわにご飯つくって食べさせて後片付けして、洗濯して物干しに干して、おしめかえてと、自分なりにやったつもりですが、彼女のやる仕事の半分もできなかった感じです。母ちゃん、降参です。
猿田農機店さんのあたたかさ
果樹園の下草を刈る「モアー」という機械を探しに、うちの畑の近くにある猿田農機店という個人経営の小さな農機屋さんへ行きました。自宅横の8畳ぐらいの小さなガレージと6畳のプレハブを事務所にしてやっている方です。看板も出てません。主人の猿田さんに、「中古でいいので、手ごろな価格のものありませんか」といったら、「うーん、モアーはなかなか中古は出ないがね。使いつぶすまで使う人がほとんどだでねえ。」とのこと。
「ところで兄さん、見かけない顔だね、どちらからだい?」
「うちは南小倉です。あのアルプス造園ところを斜めに入っていったつきあたりですが。畑は三郷と堀金の境よりちょっと南の鳴沢の端ですけど」
「名前はなんていうだ?」
「松村です。今度こちらで百姓することにしましたんでよろしくお願いします。」
「そうかい、はじめたばかりなら何とか応援してやらなきゃなんねえね。そいじゃちょっと聞いといてやるでしばらく待っておくんなし」
と言うような会話をして新品買うならということも考えて(しかし新品は20万円以上する!)、パンフレットもらって帰ったところ、3日後の雨の日、家でデスクワークしてたら電話かかってきました。
「松村さんかい、今日は雨で仕事になんねえずら。面白いもの見つけてきたで、ちょっとこねえかい。あといい話もあるからきいておくれや。」
「それじゃ今から行きますんでおねがいします。」
と言うわけで、山麓線を走ること3分。猿田さんのところにはちゃんと中古のモアーが置いてありました。
「猿田さん、これもらっていいんですか。」
「ああ、そのために用意しただよ。新品の替え刃つけとくし、3000円でいいで持っていきましょ。」
正直言って、わざわざ探してきてくれてちゃんと動くか点検整備してくれて、試運転もしてくれて、新品の替え刃付きで3000円は一桁か二桁間違えてんじゃないのかなと思ったのですが、それでいいとのことだったので買わせてもらいました。
「兄さん、りんごはじめたばかりなら、コンテナ要るづら」
「ええ、秋までにはそろえなきゃと思ってますが」
「すぐそこの人で、りんごコンテナもらってくれる人探してるがどうだい?ほしけりゃ今からでも案内するけども。」
「ほんとですか。ぜひお願いします!」
と言うわけで、コンテナもらえるはなしも持ってきてくれましてほんとに助かりました。600ほどあるそうです。新品で買うとこれもウン十万円になるものです。
実は、猿田農機店へ行く前に、二つほど農機店をまわったんです。一つは農協関係の農機センター。もう一つもわりに大きい三菱系の農機具店です。二つとも猿田さんの最初の返事とまったく同じ返事をもらいました。
「モアーの中古はまずないね。」
それでカウンターにいっぱい並んでるパンフレットを幾つか持ってきて、お薦めの機種はこれですよとかいう話になっていくんですが、猿田さんの対応にはそういう「商売っ気」がまったく感じられず、なにか温かいものが残りました。
自分の存在丸ごとを受け止めてくれたような気がしたのです。新米農業者に農機屋の立場で何かしら応援してやろうとの心が、「ちょっときいといてやるでしばらく待っておくんなし」というセリフになったんじゃないかなと思いました。
自分が何かを買おうとしたときどうしても、いろいろ揃ってて値段も安いところへ行こうと、大型店舗に足が向きますが、「物を買う」という行為は人間と人間の「付き合い」とか「関わり合い」の行為でもあるのですよね。人と関わりあって生きている。だから大型量販店よりも街角の個人商店を大事にしようと言うわけではないのですが、我が身の「買い物」に対する観方を考えさせられる一幕でありました。
さて畑のほうは桃の仕上げ摘果をはじめ、りんごもそろそろ仕上げ摘果、6月中旬に入ると桃の袋掛けと進んでいきます。桃・りんごともここまでは受粉、結実と概ね順調のようです。
この間野菜もいろいろ蒔きました。ラディッシュ、大根、人参、ごぼう、ほうれん草、うまい菜、蕪、サトイモ、サツマイモ、ジャガイモ、葱、ニラ、とうもろこし、青ジソ、オカひじき、ピーマン、茄子、トマトなどなど。ジャガイモの花も咲き始めましたよ。
皆さんにお届けできる日ももうすぐです!それで、弟の松村寛生氏(京都舞鶴在住・本職ログビルダー)にプロデュースして貰い、倉庫を家のすぐ横に作ってもらいました。9メートル×4メートル、トタン屋根壁ナシ、総工費(材料費人件費込みで)5万円と言う安物ですが(つくづく私は安物が好きのようだ)これで荷造りも屋根の下でできるし道具もぬらさなくて済みます。
写真は二人で屋根のトタンうちをやっているところです。それでは皆さん、また来週まで、ごきげんよう!
こういった方たちの優しさ、応援してくれようとする気持ちの中でやってこれたんだなあと改めて思います。必要なときに、必要な助けが必ずやってきてくれている気がします。この記事は2002年5月24日に書かれたものです。
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