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ベーシックインカムと農業と農業経済と必要性~べシックインカムと農業2~

先月から「ベーシックインカム(基礎所得保障)」という経済政策の紹介ということで語り始めましたが、今月は12月ですので今年の振りかえりをしたいと思っています。

 

農場の経営状態から報告しますと、3年続きの不作を経てかなりピンチになっています。これまでもおぐらやま農場を応援していただいている皆様は、今までの取り組みや変遷を知っておられると思いますが、結果的に園主が農薬を減らすことにこだわることが収穫減の一番大きな原因です。今年の防除暦は当地標準の2割以下。計算上の数字でりんごで17%、桃で18%、梨で15%でした。安曇野のりんご農家の多くは豊作の年でしたから、どこに課題があるのかを考えていきたいと思います。

 

7月~9月までの桃と和梨の出来栄えはとても順調で、お届けさせてもらったお客様からも「生まれて初めてこんな桃を食べた」「これまでで1番美味しいと思う」と、嬉しい声をたくさんいただきました。梨幸水が鳥害を受けたり細かいことを言えば色々あるとしても、桃・梨については無施肥と植物ホルモン活性化の切上げ剪定など道法スタイルをベースに、手作りBM活性水・植物酵素なども利用して当地標準2割以下まで農薬を減らしても成り立ちそうです。ただ成り立つでなく収量面も決して見劣りせず、品質面で慣行栽培と明らかに違うと認められてきたことがこれからの希望です。

今年の桃とマレーシアUPM大学からのウーファーさん

それに油断があった訳ではないと言いたいところですが、りんご畑については夏の記録的猛暑に対しての低農薬状態で9月末迄まで害虫発生を助長させ、7月の豪雨と8月中旬から度々接近した台風の大雨もあり、秋になって葉っぱがカビ菌に負けて落葉が進む病気をかなり出してしまいました。

 

タイミングが重なったのは、黒星病の大発生です。青森や長野など全国各地のリンゴ産地でりんごの表面に黒い斑点を付けていくものですが、これまでの防除薬に耐性菌が現れて大発生の原因となっています。ただ、程度の軽いものであれば表面に黒い点がつくというほぼ見た目のみの問題で中まで傷むことはなく、皆さんへのりんご箱にも軽いものは使ってもらっています。

 

私たちの農場経営を大きく左右するふじりんごの収穫量が今年は例年の3分の2以下に留まり、りんごは他の果樹に比べて、さらに夏の高温多湿に弱いことを実証した年といえるかも知れません。皆さんからの注文に十分に用意ができず影響を出してしまうことになりました。ここ数年は台風直撃や、夏の猛暑・豪雨・長雨等々りんごの樹や実・葉に負担のかかる気候が当たり前のようになってきていますし、テルミさんとこれからの事を話していても、われらの行く道はこれでいいのかと、根本(こんぼん)を揺さぶられているような状況です。

 

何に根本を揺さぶられているのか。気候や病害虫ではなく、本質を言うならそれは間違いなく「農家経済」です。「お金が回っていかない」ことに揺さぶられています。一般流通に乗っていく農産物の多くは、肥料と農薬のセット栽培をすることで生産量の安定を図り、消費者の方に安価である程度安定して食糧を届けることができるようになりました。農家経済の為にも消費者の皆さんの食生活の便利さからも、ここ数十年でかなり成熟してきたシステムといえるかもしれません。これは安定した社会を構成するために最も重要な要素です。食べ物がないこと、足りなくなることへの不安・恐怖が戦争の原因であることは昔から人間が繰り返した自明の理。限られた耕作地の中で如何に豊富に食べ物を生み出し安価に提供するかは農業者の使命と言えます。

 

ところが肥料と農薬のセット栽培は自然環境に大きな影響を及ぼします。過剰な肥料分と化学物質や環境ホルモンは地下水と河川・湖沼、海洋汚染の原因となり、自然界に存在する動植物微生物にいたるまで、もちろんその一部である私たちの体も大きな健康被害を被ります。一見気づかないようなことでも、長い時間をかけてその影響が表面化したりします。

安曇野の地下水を巡って③  2017年6月号 ニュースレターより 無農薬のりんごづくりを目指して

 

目の前の経済状態をどうにかしようとするだけでは、自分たちの子孫に残す地球、そして多種多様な(いのち)を傷つけていることに繋がってしまう。さだまさし的に言うと「僕らはこの美しい国を愛しながら憎んでいる」ということを知らず知らずにやっていないかと。環境を汚さない農業の形と食べ物を豊富に生産する農業者の使命とを共に成立させるまで、りんご栽培は本当に難しいです。

 

私たちが農場を始めて今年で17年。常に手探り、今も暗中模索です。自身の未熟さからピンチに陥ったことも数多く、その度に周囲の仲間や、つながりあるお客様の存在のおかげでどうにかやり続けてくることができましたが、この年末年始はまた皆さんの応援が必要な年になっています。いつまでも新規就農者ではないのにお恥ずかしい限りですが、私たちの農場が取組んでいる内容からすれば自身の至らなさはどうしようもなく、このスタイルを続けることしか方法が見つかりません。

 

日本において農薬を使わず作るのが一番難しいと言われるりんご栽培を私はなぜ自分の仕事として選んだのでしょうか。野菜関係ではそれほどハードルは高くないし、桃や梨ではどうにか目途がついてきそうな気配もあります。先日ウーファーさんからこの質問をされて僕は思わず、「Probably it is my destiny.(おそらくそれが僕の運命だ)」と答えてしまったのです。ベーシックインカム実現後は、お金の力が少しだけ弱くなりますから、冗談ではなく「これが僕の運命だ」と笑いながら安心して仕事に取り組んでいけるのかもしれません。

(おぐらやま農場ニュースレター12月号より 松村暁生・著)

ベーシックインカムとは?日本での財源、日本での実現は?

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おぐらやま農場 てるちゃん

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